1ハウス


 アセンダント。ホロスコープなどの名前も与えられています。ホロスコープとは、ホロ(時間)スコープ(観察)として、時間の観測者という意味があります。“ホロスコープ”は、また、西洋占星術のチャートを表す言葉にも転嫁されていきました。支配星はカルディアン・オーダーの最初の惑星である土星、そして、ジョイとなっているのが水星です。土星の意味と、水星の意味が組み合わされて、1ハウスの意味ができています。しかし、それだけでは1ハウスを説明しきれません。
 

 
 1ハウスの特徴は、ここから星々が目に飛び込んでくる上昇のハウスにあたることが最大の事由です。場所としての意味がハウスには付いて回ります。星々が我々の世界に入り込んで来る入り口として認識されています。ここから入口という意味がアセンダントに附与されました。

 入口とは、植物なら芽を出す場所、イベントや出来事、動物などであれば、この世に生まれ出たと同時に東の空にサインと星々が生まれ出たと捉えられ、共時性を持つことから、アセンダントが生まれることと同期すると考えられ、西洋占星術ではとてもアセンダントを大切にしています。
 

 ◆ 1ハウスの大きな意味

 
 アセンダント(ざっくりと1ハウスのカスプ周辺を指して)は、その人そのもの、当事者、質問者などの意味があります。ネイタルでは、誕生したその人の *-ness に当たる部分です。イベントチャートでは当事者、その物事を始めた人、会社に当たります。ホラリーチャートでは、質問者を一般的には示します。(例外はいつでも存在します)

 アセンダント(1ハウス)がこのような意味を持つのは、西洋占星術が元々、生まれることと、東の空が生まれることを同期させて占なう占いだからです。その時にちょうど地平線に当たるのが、1ハウスのカスプです。1ハウスのカスプに当たる部分に来ていたサインを採用して、生まれたときのサイン、そして、そのサインのロード(ルーラーとか、ドミサイルのロード等と呼んだりもします)、そして、ちょうどその東の空のカスプ上に出ていた恒星を含めて、当事者を露わにするとします。

 これは、西洋占星術の定義ですから、その時のアセンダントに来たサインが何故その人を表すのか? などの疑問や質問には、ただ「そうである」、としか答え様がありません。それが西洋占星術なのです。現代の物理学や科学や論理学ではないのです。幾分哲学的な要素は残されていますが、「大宇宙と魂がどのよに同期しているのか」との質問に答えるほど難しい議論になるでしょう。

 西洋占星術では、1ハウスのロード(他の呼び方もありますけれども、このサイトではロードとします)を当事者と捉える考え方があると述べました。

 惑星には、吉星(ベネフィックな惑星、木星、金星、太陽、月)と凶星(マレフィックな惑星、土星と火星)があります。アセンダントのロードが凶星だったら、どうなるのでしょうか? 凶星だとしても、その当事者が悪い人ということではなく、当事者が、そのような状況に置かれていると解釈していきます。更に、アセンダントの中に凶星が置かれていることも多いでしょう。その時はどのように捉えるのでしょう。

 アセンダントの中にある凶星は、サインのロードであったり、イグザルテーションのロードであったり、ディグニティーを2つ(トリプリシティー・ターム・フェイス)を持っていて、順行していれば、その人、当事者、質問者にとっては幸いです。しかし、アセンダントの中で逆行していたならば、当事者にとって良くない意味を持つことになります。土星であれば、物事の遅延を意味します。遅延する、遅延させる、両方です。火星であれば、物事に対処しなければならない事態が生じると解釈されます。当事者が物事を起こすのか、他から、物事が起こされるのか、両方です。そのマレフィックに強く関係する星が、事態の中身を表すでしょう。

 強く関係する星とは、レシーブをしている惑星や、アスペクトをしている惑星、アンティッション(別のページで説明します)になっている惑星、恒星などが入ります。
 

 ◆ 支配星とジョイを使った意味

 
 アセンダントには土星と、ジョイとなる水星の意味があると最初に書きました。彼らはどのような意味をアセンダントに附与しているのでしょう。

 土星

 土星は、トータルとして物体を表すことになっているので、アセンダントにはその人の肉体という意味を附与しています。西洋占星術上の肉体とは、9ハウスの旅(人間はこの世に旅をしに来ているという考え方から)を行う魂の乗り物と捉えられていたのです。魂の乗り物である“舟”と考えました。それは土星のことでした。土星は肉体であり、魂を乗せる舟ですから、アセンダントを観察すると、その舟の状態、舟の能力などが観察されます。港へ船を見に行くと、その船の姿形から、おおよその船の能力が垣間見えます。それと同じような観察ができる場所だと、古代の占星家たちは考えました。この時考慮に入れらるのは、アセンダントのロードと月でした。ネイタル占星術では、月も、肉体を表すとされてきたのです。

 アセンダントは、総合的に体全体を示すと同時に、解剖学的に分解すると頭部を表すことになっています。

 水星は、頭の中に思い浮かんだ事柄を、他の人に表現する惑星です。話すことで、筆記することで、絵画で、彫塑で、音楽で、楽器でなどなど、思いのたけを表すとされる惑星ですから、1ハウスには表現、表情などの意味が附与されています。考えてみるまでもなく、表情や目の動きは、その人の心を充分に表すことを私たちは知っています。水星は、古代から、知的な部分をも含めて、その人の心を表出する惑星と考えられてきました。水星を観察して、その人の考え方とか人となりを考察してきたのです。このとき考慮に入れられるのは、アセンダントのロードや恒星です。