リセプション

リセプションの成り立ち

 西洋占星術のレシーブとリセプションは、ディグニティーと表裏の関係にあります。サインをお皿として把握することによって、レシーブとリセプションが見えてきます。サインを把握するとは、サインが層(プレート)のように、お皿(プレート)のようにできていることを掴むことです。これで、レシーブの感覚が、まず掴めます。
 

サインは、お皿(プレート)であり、層(プレート)になっています
サインが層(プレート)のように、お皿(プレート)のようになっています

 
 金星が♋のサインに入っていて、月が♓のサインにあると、月と金星は120°のトラインになります。これから、角度による角度に従ったトライン・アスペクトを成すなら、月によるレシーブと、月によるアスペクトにより、月と金星の間にリセプションが生じることになります。

 ここで月が、トラインを作れずに、金星とのアスペクトのみでセパレートしていても、月は金星をレシーブしていることには変わりありません。又、しばらく前にはアスペクトをしてリセプションを生じさせていたわけですから、月は金星の光を受け取って前に進んでいます。

 その月が次にアスペクトする惑星は、月から金星の光を受け取ることになります。これが、トランスファー・オブ・ライトです。


1.アスペクトとレシーブでリセプション

 
 アスペクトだけでは、リセプションは生じません。又、レシーブだけでも、リセプションは生じません。リセプション(歓迎)は惑星同士が実際にコンタクトを取った時に生じます。また、リセプションが生じていた(過去形)ことも重要になる場合が多々あります。

 このリセプションという現象を発見した古代の占星術師たちは、コンジャンクションになる太陽と土星から、コンバストになるはずのものの中から、焼かれることの無い関係を見つけたことに端を発します。シドンのドロセウスという占星術師の書いたCarmen Astrologicum という書物の中に、土星と太陽のコンジャンクションの事柄がサイン毎に幾つも書かれていて、その中の記述に「水瓶のサインと獅子のサインでは、悪くはない。良い父親である」と書かれているのです。つまり、土星が太陽をレシーブしているか、太陽が土星をレシーブしている場合には、悪くならないのです。名前は付けられていませんでした。

 数世紀の後、これらの関係がコンジャンクションだけではなくアスペクトでも起きることを確認した占星術師たちは、これらの惑星たちの構成を様々な観点から考察して「リセプション」と名付けました。ここにようやく整った形でのリセプションが定義付けされたのです。
 

 ◆ リセプションは何を表すのか

 リセプションは、惑星同士の関係の中でも、相手を思いやる気持ちを表します。もちろん、物との関係もありますから、思いやりだけではありません。人の心の傾向に沿わせて解釈するなら、“思いやりのようなもの”です。

 私は、リセプションを把握する、知る、覚えるには、恋愛関係のチャートが最も適切で把握するのも早いと考えています。まさしく、恋愛関係のチャートならば、相手を思いやる気持ちとなるからです。リセプションの中では、レシーブとアスペクトに分解されます。中でも、レシーブが相手を思いやる気持ちになります。例えば、アセンダントのロードが金星で、7ハウスのロードが火星で、アセンダントのロードが7ハウスに入っていたとします。すると、アセンダントのロードは、7ハウスのロードにレシーブされていることになります。

 チャートの中で火星はデトリメントですが、これは相手を嫌っている意味ではなく、デトリメントは普段の自分ではないことを示しているのみで、彼の前では本当の自分が出せないことになります。金星は、その場所で火星をレシーブしていることになります。牡牛のサインのロードは金星ですから、牡牛のサインが火星をレシーブすることは、同時に、金星がレシーブしていることにもなるわけです。サインはプレート(お皿・層)です。「層」とは、牡牛のサインを構成している、イグザルテーションのロードである月、トリプリシティーの金星や月、そして、20度当たりのタームの惑星である木星、フェイスのロードである土星などによって形作られています。
 

リセプション

2.リセプションから読み取れること

 リセプションには様々な意味が考えられますが、こと恋愛の問題であれば、幾分ハッキリさせることができます。つまり、強くレシーブしていることが「愛情」のバロメーターになるわけです。“相手をレシーブしている”ことは、相手を受け入れている意味になるからです。思いやりに違いありません。ただ、その思いやりがどのように表現されるかは、個々のチャートによって異なってくるでしょう。愛の表現が情愛中心だったり、愛の表現が性愛中心であったり、愛の表現が自己中心的であったり、様々に異なってきます。

 それでも、中心に「情愛」が存在することは確かです。中には金銭的な物に惹かれるということもあるでしょう。相手の格好の良さに惹かれることもありますし、社会的な地位に惹かれることもあるわけです。男性の場合に、相手がキャビンアテンダントであるとか、女性弁護士であるとか、女医さんだったりして惹かれることはままあることです。女性であれば、相手がスターであったり、収入の良いサラリーマンだったり、社長という肩書だけでも惹かれる場合があります。
 


 
 人間って、そんなものです。よほど人生の荒波を通って来ないと、相手を人間性で選ぶことはありません。

 よく尋ねられる質問に、彼にあったらどのような仕草、会話、どんな料理を作ってあげたら喜ぶでしょうか・・・ というものがあります。自分をより良く見せようとしても見せられるわけがありません。今以上のあなたになりたいのならば、常日頃から、今以上の自分になれるように努力されているならそうなるでしょうし、付け焼刃のようにはいきませんよと申し上げます。クライアントの方はガッカリされますが、そんな緊張をしながら二人でいても本当の恋人同士にはなれないでしょう。恋は、普通にしていても落ちるときには落ちるものです。まずは、何も期待せずに堂々と自分をさらけ出してみてはいかがでしょうか。

 “自分に自信が無い”とそれはできない? 誰か、あなたの周りに自信にあふれた人がいるでしょうか? 一人もいません。タマ~に自信過剰の人は居ますが。
 


 余計な話を書きました。リセプションは、見えない心情を見通してくれます。慣れてくると、取引相手がどのような相手で、何を考えているのかさえも判断できるようになります。

 恋愛の場合でも、相手の男性が遊びで近づいてくるのか、真剣に近付いてくるのかが分かります。アスペクトは、「会える」ことを示すのみで、その背後には気持ち心情があるはずです。それを見届けるのがリセプションというわけです。

 アスペクトは、タイミングも示します。それは単にベッドに入るタイミングだけかもしれません。「愛情」は又、別の表示に頼らざるを得ません。「愛情」がアスペクトで示されるとは、歴代の占星術師の誰も書いていません。トラインだから「愛されている」? 嘘でしょう。トラインは、簡単に二人の関係が進むことだけを示します。二人の関係が前に進んだからといって、彼がお遊びでデートをしているのならば、、、トラインには、何の保証もありません。特に、どちらかの惑星が、12ハウスや6ハウスに入っているならば、お遊びである可能性が限りなく高くなります。もちろん、完全ではありませんが。でも、滅多にお遊びから本気になることは無いのです。