西洋占星術の古典的な技術

今日、伝統と名付けられていますが


 西洋占星術は、もともと伝統的なものです。現代占星術と伝統的占星術を区分する必要性は全くありません。理論は一つしか伝えられていませんが、中に創作されたものが紛れ込んでいることは事実です。

 17世紀の占星家、ハーブ研究家のニクラス・カルぺパーは次のように述べます。

 Also some Authors hold an opinion that the signs carry the same signification in order that the houses of heaven do, and that Aries should signify life; Taurus estate; Gemini brethren and short journeys, you know the rest. Truly my own opinion is, many Authors invented whimsies, and when they had done, set them down to posterity for truth; who taking them up without trial, clothed Tradition in Plush and left poor Reason to go in Rags. An Author said so; ERGO, ‘tis true, right or wrong.

 何人かの占星家達は、天のハウスが保持するように、サインもまた、同じ意義を備えているとの意見を持っている。牡羊のサインは人生、牡牛は財産、双子は兄弟と短い旅行だ。残りもあなたが知ってのとおり。私の素直な意見を述べると、多くの占星家達がそのような奇抜なものをねつ造しているので、私は真実のためにこれを書き留めねばならない。誰が彼らを審問にかけることなく捕らまえ、みすぼらしい衣服である屁理屈を断ち切らせ、豪奢な伝統的な衣服を着せるのか。ある占星家は言った。ゆえに、どうあろうとそれが当然のことである。

ニコラス・カルペパー(Nicholas Culpeper 1618~1654年)
The Astrological Judgment of Disease』, 1655, Chap XI, Part IV,
Ascella版、p.87


歴史を紐解けば、それが分かってきます

 西洋占星術の法則を17世紀以前のテクストに戻すと、今日行われているハウスとサインの同一視は、全く意味のないものであることが理解できます。ハウスの支配星と、サインの支配星は同じではありません。

 17世紀以前の西洋占星術の教科書には、

  1. ハウスの支配星は、土星(ジョイは水星)
  2. ハウスの支配星は、木星
  3. ハウスの支配星は、火星(ジョイは月)
  4. ハウスの支配星は、太陽(その昔、土星がノミネートされていた)
  5. ハウスの支配星は、金星(ジョイは金星)
  6. ハウスの支配星は、水星(ジョイは火星)
  7. ハウスの支配星は、月
  8. ハウスの支配星は、土星
  9. ハウスの支配星は、木星(ジョイは太陽)
  10. ハウスの支配星は、火星(その昔、金星がノミネートされていた)
  11. ハウスの支配星は、太陽(ジョイは木星)
  12. ハウスの支配星は、金星(ジョイは土星)

です。ハウスの意味を構築するには、ジョイとなっている惑星の理解を欠かせません。また、1世紀の本『アストロノミカ』には、4ハウスに土星、10ハウスに金星を当てはめようとした動きがあったことを伝えています。これが、17世紀以降、一部の占星術を学ぶ一派が、1ハウスの支配星を火星に、2ハウスの支配星を金星にしていったのです。非常に単純でいいのですが、これは単に、創作されただけです。

 誰が何の目的で、意図的になのか、知らずにそうしたのか分かりませんが、大々的に行っていることを考えると、真実の西洋占星術が伝わることを隠したかった誰かによって為されたとしか思えなくなります。

 これは、伝統的な占星術のテクスト(17世紀以前の)を幾つか読むことで、直ぐに分かってきます。どちらが本当のことなのかも、その理論を学ぶことで自ずから分かってきます。創作されたものは、やはり薄い構造しか持っていません。

 特に、17世紀以降に創作された西洋占星術は、技術的にアスペクトのことのみが語られ、エッセンシャル・ディグニティーや、アクシデンタル・ディグニティーや、レシーブやリセプションのことを言わずに済ませています。

 それに気付いていただき、西洋占星術がお好きなら学び直してほしいのです。今日一般的に行われている西洋占星術は、通信の意味を水星から持ち出していますが、本来は3ハウスのジョイとなる月から来たものでした。9ハウスに占いという意味があるのは、ジョイとなる太陽神アポロンのハウスでもあるからです。木星だけだと、出てきません。


『星の階梯』

 
 私はその辺りのことを知っていただきたく、『星の階梯 I』、『星の階梯 II』を書きました。ぜひ、お読みください。日本語で平易に読めるのは、『I』の方です。西洋占星術に興味が出てくれば『II』もお読みください。

 西洋占星術で判断をするには、ナチュラルな惑星の意味よりも、よりハウスの支配星となった惑星を使います。ですから、ハウスの理解を外せません。もちろん、ハウスだけで全ての配役を選び出すわけではありません。それでも、ハウスの概念を把握していないと惑星を選べなくなってしまうのです。

 例えば、夫の携帯電話となっている惑星を選び出すときにはどうすればいいのでしょうか? ナチュラルな」携帯電話の惑星 = 土星を使う手もありますが、それだけでチャートは判断できないことでしょう。

 自分自身の財産のことを占うにも、ハウスと、ナチュラルな財産の星を選んでおかなくてはいけません。流動資産は2ハウスで、ナチュラルな財産の星は木星です。更に、2ハウスのロードも検討に値することになります。何故なら、2ハウスこそが財産(流動資産)のハウスだからです。P.o.Fも財産のことをしめすことになります。このことから、ネイタルのチャートから財産の状態を探るには、昼生まれであれば太陽のトリプリシティーの各惑星、2ハウスのロード、木星、P.o.F のディスポジターを探ることになります。クリスチャン・アストロロジーのネイタルの説明の、財産の判断にも書かれてあります。

 ハウスの事柄が少し理解できたでしょうか。下記には、それぞれのハウスの事柄へのリンクが張られています。


星の階梯

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