西洋占星術の12サイン 

西洋占星術の12サイン

 西洋占星術の12サインは、発祥当時から考えると約30度ほどずれています。ほぼ、発祥当時の春分点から1サインのずれが生じています。このことによって、現在ふたご座という星座は双子のサインの場所には無く、蟹のサインの場所にあるという変な具合になっています。

 つまり、西洋占星術の12サインは、星座とは異なった場所にあります。一般の人はこのことを知らなくてもいいのですが、西洋占星術を学ぶ限り、このことを認識していないと、星座(コンステレーション)の意義や恒星の意義を判断に持ち込む場合に混乱を起こしてしまいます。


1.サインは惑星の層でできています

 西洋占星術で使う12サインは、今から約2,500年前にカルディア人によって天文の観測を行い易くするために考案された春分点に基づいています。元々、西洋占星術が発祥した当初から長い間、発祥時の春分点を使い続けていたのですが、地学者であるプトレマイオスが自著『ティマイオス』や『テトラビブロス』を著してからは、春分点に基づく12サインが採用されていきました。

 「サイン」のことを「プレート」とも呼びます。ですから、サイン同士のアスペクトのことを「プレート同士のアスペクト」=「プレート・チック・アスペクト」=縮めて「プレイチック・アスペクト」などとも言います。プレートには、「層」という意味と「お皿」という意味があり、両方とも西洋占星術のサインを把握する感覚にピッタリと当てはまります。

 例えば、牡牛のサインは、サインのロード(ルーラーとも言います)の金星や、イグザルテーションのロードの月、♉のサインが地のサインであることから、地のトリプリシティーを司る惑星たちによって、お皿として惑星たちをその上に乗せることがあります。惑星が通り過ぎながらサインの上に乗る状態をお皿の方から捉えると、レシーブと呼びます。まさに、お皿を受け皿として使っている様相を指しています。お皿は、サイン、イグザルテーション、トリプリシティー、ターム、フェイス、デトリメント、フォール等の層になっています。

 そして、全天360°を12で均等に30°ずつ分けたものが、サインです。世界の誕生のチャートと呼ばれるものが言い伝えられていて、それはアセンダントが蟹であるとされています。下図です。

  

世界の誕生のチャート
世界の誕生のチャート「フィルミクスの、『マテシス』に載っています

 世界の誕生のチャートではアセンダントが蟹のサインですが、牡羊のサインが一般的には始まりとされています。これは、♈のサインが頭を表しているからで、一般的に頭が最初であるはずだから♈のサインが始まりになったと言われます。(レトリウスの『コンペンディアム』より)


2.サインの役割

 サインには、いくつかの役割があります。

  1. 惑星の位置表示機能
  2. 惑星に、ある特質を持たせます
  3. エッセンシャル・ディグニティーの与奪
  4. 他の惑星による支え方(レシーブ)
  5. サイン同士による様々な関係を表現する
  6. 肉体の器官、家の内外の場所、国家や街を示します

  

 これらの役割が、サインの機能となります。サインが保持するものにはエレメントがあったり季節を表すものがあったりしますが、これがサインの持つ特質で、入ってきた惑星たちにその意義を持たせるものです。もともと、サインとハウスの意義がありますが、ハウスの意義の方が強いと言われ、サインの意義はそれほど強くはありません。

 例えば、4ハウスが♉のサインだったとすると、4ハウスに入った惑星は、4ハウスの意義と、惑星そのものの意義(チャートの中の何ハウスのロードなのか、受け持っているハウスが2か所あるとすれば、どちらのウェイトが高いのか)等に従って、どのハウスのロードが4ハウスの♉に入っているのか、それによって観察をし始めるわけです。

 ♉のサインを通過中の惑星は、プレートの層を構成している金星や月にレシーブされることになります。通過中の惑星を、金星や月の視点から読み解くので、あまりサインの意味を使うわけではありません。♉のサインは、フィクスト・サインであるとか、コールドでドライなサインであるとか、地のエレメントを持つとかはしょっちゅう使いますが、「神経質で意思が固いとか、物質に執着しがちである」とかの意味は、全く備わっていません。それらは、後世の誰かが19世紀以降に考え出した意味です。おうし座という星座にそのような意味があっても、現在おうし座という星座は、双子のサインに在ります。(前頁の図)