ネ イ タ ル 西 洋 占 星 術
古典占星術に潜む 秘密の法則
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大鏡の扉
惑星の詳細な把握 ①
セクトの教義 その1
● 古典占星術の特徴は
詳細な惑星の把握・査定からスタートすることです。惑星の査定にはエッセンシャル・ディグニティーやアクシデンタル・ディグニティーがあります。ヘレニズム占星術には、それ以外にも惑星の査定方法が在ります。それら無くしてはネイタル占星術が判断できません。このホームページには①から④までを解説しています。技術を公開したとしても、それで判断できるわけではありませんから技術を公開しています。解読方法はまた別の事柄です。
■ 1. ジェンダーとセクトでの惑星の分類
レトリウスのCompendiumは現在の所117項目蘇っているジェームス・H・ホールデンによって英訳されたテクストです。著作のタイトルは、『(Rhetorius the Egyptian's Exposition and Explanation of the Entertain Art of Astrology from the Treasury of Antiochus)エジプト人レトリウスがアンティオコスの宝物庫から得た占星術の全技術を解説したもの』となっています。通常Compendiumと記載されます。レトリウスはこれを6世紀の初め頃に書いたとジェームスは述べています。118項目めも載せられていますが、これがCompendiumに元々含まれていたものであるかどうかは不明です。
その第一項でジェンダーでの分類を書いています。男性格と女性格のサインと惑星についてです。
男性格の惑星は、太陽、木星、土星、火星、太陽に先駆けて上昇した場合の水星。
女性格の惑星は、月、金星、太陽の後を追うように上昇した場合の水星となります。
■ 2.セクトでの惑星の分類
第二項でチャートのセクトと、セクトの惑星を分類します。
昼セクトのチャートとは、太陽が地平線の上にあるチャートのことです。
夜セクトのチャートとは、太陽が地平線の下にあるチャートのことです。
昼セクトの惑星は、太陽、木星、土星、太陽に先駆けて上昇した場合の水星。
夜セクトの惑星は、月、金星、火星、太陽の後を追うように上昇する場合の水星となっています。
このように、早い段階でジェンダーとセクトを分類しているので、とても基本的な事柄だったということが分かります。分かっていながら、それほど重要だと思われなかった理由はヴェッティウス・ヴァレンスのAnthologyや、他の文献類が真剣に読まれていなかったからだと思われます。
● セクトの教義
出生図における古典的な7つの惑星の強さと吉兆を示す優劣は、最初に惑星を昼と夜に分けるセクトの教義に由来します。これは非常にシンプルでありながら、とても強力です。チャートを査定する最初の取りかかりに必ず行うことであり、後々の査定や判断にも強く影響を与え続けます。これは中世占星術においてほぼ失わていた技術であり、リリーやボナタスのネイタルの判断には出てきません。2000年前後に、ロバート・シュミット、ロバート・ハンド、そしてジェームズ・ホールデンなどの翻訳プロジェクト、ハインド・サイトによってようやく復活しました。
「セクト」とは派閥を意味していて、政党の派閥のようなものです。ある派閥が政権を担うと、他の派閥は政権を担えません。昼セクトと、夜セクトに分けられます。
昼のチャートでは、昼セクトの惑星である太陽、木星、土星、そして太陽よりも先に上昇した水星が政権を担います。夜セクトの惑星である月、金星、火星、太陽よりも後に上昇した水星たちは、現政権に賛同することもありますが、どちらかというと派閥の意見に従います。
政党と同じように権力を握った方のセクトの惑星たちが、より優位に出生図の持ち主の生きるための命題を解決していこうとします。反対側のセクト、逆セクトと言ったりもしますが、権力闘争に敗れた政党は、時には現政権の足を引っ張ったりもします。
あなたのチャートが昼セクトなのか、夜セクトなのかを見分けるのは非常に簡単です。太陽が地平線の上にちょっとでも出ていれば昼のセクト・チャートで、太陽が地平線の上に出ていなければ夜セクトのチャートになります。つまり、地平線を境に、太陽が昼か夜かを決めるのです。昼セクトのチャートを昼行性、夜セクトのチャートを夜行性と呼ぶ場合もあります。
これが最も単純にセクトを用いる方法で、一方の惑星群が、他方の惑星群よりも吉兆をもたらすと解釈される要因になります。昼セクトのチャートの土星は、マレフィックであるよりも時にはベネフィックとして働き、夜セクトのチャートの火星は、かなり優位にベネフィックのように作用してくれます。
セクトの教義によって、どの惑星がより吉兆な惑星となり、どの惑星がより凶星として働いているのかが区分できます。それも即座にできます。(あまりに強力過ぎます)
ご自分のチャートを見てみて、どの惑星が恩恵を与えてくれるのか、どの惑星が私の問題となり、それは何ハウスに置かれているのかを見るだけで、かなりのことを思い浮かべることができるでしょう。このセクトの教義は、表に出てからまだ25年ほどしか経っていません。セクトのベネフィックの占めるハウス、そして他の惑星とのアスペクトに注目するだけで、詳細な判断ができる場合もあります。また、逆セクトのマレフィックを観察することによって、ご自分の課題が奈辺にあるのかが、また、年齢を経た方ならば、長い間の経験からマレフィックな逆セクトの惑星の入っているハウスのことから、そうだったと納得できる事柄も思い出されるでしょう。
● 西洋占星術の持つ大きな特徴は、全ての惑星の徹底的な精査から始めることです。
精査がなぜ行われるのかを、私自身も知りませんでした。簡単な歴史的な概略で述べたように、明確な組織化されたチャートの解釈方法を模索する以前の障壁だったのです。その扉を開けて入ってみると、道筋が薄っすらと見えるではありませんか。惑星の評価方法が多く語られていながら、その順番さえも見えてこなかったのです。
また、これまでにあまり言われることがありませんでした。各テクストによって切り口が違うこともあり、取り掛かりのステップそのものがどこなのかが不明でした。基礎となるのはどこなのか、どの査定から始めればいいのか曖昧だったのです。レトリウスのものにしても、ここからだとは書かれていません。それどころか、各部の精査と題されたものが第五十四項目めに出てきます。そこには1番目から7番目、そして更なる考慮と題された題目もあります。これが最も基礎なのかというと、「各部の」と冠されていますから、その「各部」とは何かがあるはずです。その「各部」から入っていくべきなのです。
それらは、第五十四項目めまでに出ているはずです。他の文献類も合わせて検討すると、素直に惑星のジェンダーを調べ上げ、セクトを分類することなのだと判断できてきました。
● 昼のセクト、夜のセクト
セクトは、何故昼と夜に分けられるのでしょうか。例えばフィルミクス・マーテルナスのMatheesosのIIIのVI金星の項目に下記のように書かれています。
その4では、昼のチャートで金星がアセンダントにある人物は、ネイティブを貞操観念のない評判の悪い人物(男・女)にする。(しかし、太陽のフェーズのことは書かれていませんが重要です)
その1では、夜のチャートで金星がアセンダントにある人物は、ネイティブを神聖な智慧を持つ人、有力者の友人、サインの品質と性質に従って尊敬の念を抱かせる会話者とする。(こちらの方は、太陽に先駆けて上昇している金星と考えられます)
などとあります。ハッキリと昼のチャートと夜のチャートでは惑星の現れ方が違うと書かれているのです。
これをモダンな占星術の精神分析に用いるとすれば、精神的な傾向でも、金星がアセンダントにある昼と夜の人物が、だらしない性格と ⇔ 自分をわきまえる性格として表されます。こういった類推に関する研究は今後の古典占星術の課題となります。
ネイティビティー(出生者のチャートのこと)の地平線の上に太陽が出ていれば、昼のセクトになり、昼のセクト・チャートと呼びます。地平線の下に太陽があれば、夜のセクト・チャートとなります。(ネイティブとはチャートの持ち主のことです)
太陽と木星と土星は、昼セクトの惑星です。
月と金星と火星は、夜セクトの惑星です。 (これらは、昼と夜を通じて変わりません)
水星だけはセクトを変えます。太陽に先駆けて上昇していれば昼セクトの惑星となり、太陽に遅れて上昇するなら夜セクトの惑星となります。(太陽に先駆けて上昇するとか、太陽に遅れて上昇するとかの判断を、太陽のフェーズに基づく観察・判断・査定などと呼びます)
チャートが、昼セクトのチャートならば、太陽・木星・土星、そして水星が昼セクトであれば、これらがセクトの惑星となります。このとき、夜セクトの惑星たちを、逆セクトの惑星と呼んだり、アウト・オブ・セクトの惑星と呼んだりします。
チャートが、夜セクトのチャートなら、月・金星・火星、そして水星が夜セクトであれば、これらがセクトを得た惑星となります。このとき、昼セクトの惑星たちを、逆セクトの惑星と呼びます。
セクトが大事な理由は、セクトを得ているとマレフィックがときにベネフィックのように働くことがあるからです。また、セクトを得ていないベネフィックが、まるでマレフィックのように働くこともあります。上述したフィルミクスのものや、下記にはCompendiumのものを載せています。これらは、少数のネイティビティーを観察しただけでも、それが明確に判断できますから、この方法を信じることができます。Compendiumには下記のようにあります。ジェームス・H・ホールデンの訳です。
「彼らは… とあるネイタル・チャートの中で、フェイズとセクトとハウスによって良い位置になっている凶星は、幸運を膨らませると観察した。」
これは、マレフィック(凶星)の観察です。

ある貴婦人のネイタル・チャート
上記のチャートは夜セクトのチャートです。セクトを得ている惑星たちは、金星と月と火星です。水星は太陽に先駆けて上昇する位置にあるので、昼セクトの惑星となっています。セクトを外れた惑星たちは、太陽、土星、木星、水星となります。
上記のようなチャートでは、夜セクトになっている火星があまり悪さをしないことになります。何故ならセクトを得ているからです。その一方で、昼セクトの土星は悪さを働きますが、これにも段階があります。この段階を把握する最初のステップが、どの惑星が様々な状態で、歓喜するのか ⇔ 歓喜しないのか、です。次ページ
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